「問題がどうであろうと、いつも正方形から始める。」 この言葉は20世紀を代表する建築家の一人ルイス・カーンの言葉です。カーンは建築について詩的な言葉で表現する事でも知られ、「窓は部屋になる事を望んでいる」、「構造体は光を与え、光は空間を作る」等、数多くの詩的で建築的な示唆に富んだ言葉を残しています。
今回、私たち那須倶楽部は「黒い箱の様な家を建てて欲しい。」とユニークな依頼を受けました。そこで私たちは「黒い箱の中にどの様に住む人の生活を収めるか」を考え、プランニングを行いました。カーンの正方形ではありませんが、“箱”から始まったこの「作品」は、家のかたちとくらし方を考える良いケーススタディとなっています。
1.Entrance
2つの玄関を持つCSH#21。1つ目の玄関は訪れる人を外部から緑の美しい芝やシンボルツリーのある中庭へと招き入れ、2つ目の玄関は中庭から建物内部へと誘導します。この2つ目の玄関には6畳もの土間収納を設け、利便性を確保しています。
2.Living Dining Kitchen
約30坪という建物でありながら、約19畳もの広さを実現したリビング・ダイニング・キッチン。リビングには天窓を2つ設け、四季や時間によって変化する光の表情を室内に取り込んでいます。また、デザインはもちろん、大きさ・高さ・棚割りが自由に決められるオーダーメイド・オリジナルキッチンはインテリアとして空間に溶け込み室内をより印象的なものへと変化させています。
3.Master Bedroom
大容量のクローゼットを設けた主寝室。主寝室には大きな正方形の窓を設置し、明るい空間となっています。
4.Child Room
小さい時は大きく使い、成長時には分割出来る様、可変性を持たせた子供部屋。今回、子供部屋に大開口を持たせ、廊下との境界をあいまいにした事により、廊下を縁側的に使える様にしています。
5.Guest Room
内玄関を直接通らなくても室内に入る事の出来るゲストルームはゲストルームとしてはもちろん、子供の遊び場から習い事の部屋等、様々な用途に使える事が出来る様に設計を行っています。
6.Wash Room
洗面・バス・トイレをコンパクトにまとめたウォッシュルーム。コンパクトながらも多目的に使用可能なバスコートをレイアウトする等、明るく使い易い空間となっています。
7.Court
この「作品」の最も大きな特徴である中庭。シンボルツリーや芝等で演出された緑豊かな空間は住宅地である周辺環境を忘れさせてくれる事でしょう。また、この空間は窓を空けながら眠る事が出来る等、防犯にも優れています。
所在地/栃木県宇都宮市
仕様用途/専用住宅
家族構成/1世帯
構造/木造在来工法/1階建
延床面積/101.85u [ 30.8坪]
テラス/3.31u [1.0坪]