“The room is place of the mind” – Louis Kahn.
“ルームは心の場所である。” – ルイス・カーン
20世紀を代表する建築家の一人、ルイス・カーンは建築はルームの集まりにより構成されており、そのルームは心の場所であり、自身や相手との対話/コミュニケーションの場所であると語っています。今回、私たち那須倶楽部は「リビングの他に大人が夜を楽しむ空間が欲しい」との依頼を仕事や子育てで多忙なご夫婦から受けました。ご夫婦は同様の環境にある友人やその子供たちと自宅で過ごす機会が少なくなく、またその人数も多いので、すまいに社交を目的とした空間を加えたいとの事でした。ご夫婦のすまいは以前私たちが手掛けたもので、設計当時からご家族のライフスタイルの変化を想定し、すまいに可変性を持たせた設計を行っていました。今回の「Reform/リフォルム」では、新たに行ったコンサルティングにより、「プライヴェート・ラウンジ」というコンセプトを導き出しました。白が基調である現在の空間には、対照的な黒い空間は日常の喧騒からは得られない非日常性を持たせ、大人が落ち着いて過ごせる様、デザインを行っています。また今回の「Reform/リフォルム」にはもう1つ、「大人の時間、子供の時間」というコンセプトを加え、大人が自分たちの時間を楽しんでいる間、子供たちは星を眺めたりする事の出来るスカイデッキや屋根裏部屋をイメージした梯子のあるロフト等、別の時間を楽しめる提案をしています。今回の「作品」は、すまいを構成する“ルーム”について考えるよいケーススタディとなっています。
この「作品」は当初、家族のコミュニケーションを考えてどの部屋に移動するにも必ずリビング・ダイニングを通る様、レイアウトを行いました。更にリビング・ダイニングの周りには和室とキッチン、アウトドアリビングとしてウッドデッキを配し、様々なシーンに対応する様にしていました。また、ライフスタイルの変化に応じてすまいを更に進化させる事が出来る様、可変性を持たせていました。
ご夫婦により、生活を更に豊かにする空間を手に入れたいとのリクエストを受けた私たち那須倶楽部は、現状と実現したい生活をどの様に融合させるかを考えました。そして私たちが導き出したプランは大人と子供それぞれが違う時間を楽しめるもので、大人は日常を忘れ非日常を楽しむ空間、子供はロフトやスカイデッキで思い出を作る空間となっています。
所在地/栃木県下都賀郡壬生町
仕様用途/専用住宅
家族構成/1世帯
構造/木造在来工法/平屋建
延床面積/203.71u [ 61.8坪 ]
建物面積/151.13u [ 45.8坪 ]
ロフト/7.45u [ 2.3坪 ]
ガレージ/45.13u [ 13.7坪 ]
スカイデッキ/20.70u [ 6.3坪 ]
○床 / インポートタイル
60cm角ものイタリア製タイルを採用しています。表面を少しラフに仕上げた落ち着いた色合いのタイルは、空間を質感豊かに演出します。
○壁 / オーク仕上板
木とタイルの組合せは空間の表情を豊かにします。
○天井 / スペシャルペイント仕上
卵の殻の質感を持つユニークな塗料を使用しています。ペイントの様でもあり、石の様でもある風合いを持つ天井は光により表情を変化させます。
○家具 / オーダーメイドAVボード
壁と同じ素材を用いてオーダーメイドで製作し、宙に浮いているかの様に見せています。
○その他
リビング・ダイニングにロフト、ブラックルーム屋上にスカイデッキを新たに設けています。大人の空間であるブラックルームに対し、ロフト+スカイデッキは子供の空間として提案しています。
○照明 / コーヴ照明+システムダウンライト他
天井を部屋の形状に切り取ったコーヴ照明と投射角度を自由に変えられるシステムダウンライト等を採用しています。タイプの違う照明は異なる光の表情により、部屋の空気感を大きく変化させる事が可能です。各照明は調光機能を持たせています。
○暖房設備 / 床暖房
必要な時にすぐに暖められる電気式を採用しています。
○その他 / メディアケーブル
4ch以上のサウンドシステムやインターネットTV、ゲーム等に対応しています。