庭を、室内へつながる風景として
2026.10.13
庭を、室内へつながる風景として

庭屋一如。
庭と建物は、それぞれに存在するものではなく、
互いに呼応しながら、ひとつの住処をつくるもの。
古くから受け継がれてきたこの考え方は、
私たちが庭を計画するときにも、大切にしている視点のひとつです。
窓越しに見える緑。
建物のあいだを抜けていく視線。
葉を透過する光や、時間とともに伸びていく影。
庭は、外に眺めるためだけの景色ではありません。
室内に光を招き、視線を導き、季節の移ろいを伝える。
建築の内部にまで作用する、住まいを構成するひとつの要素です。
今回の庭では、植栽をできるだけ建物の傍まで寄せています。
窓のすぐ先に木々を配し、建築と庭との間にあえて余白をつくりすぎない。
そうすることで、庭を遠くに眺めるのではなく、緑そのものが室内へ入り込んでくるような関係をつくりました。
枝葉が窓辺まで近づき、風に揺れる。
光が葉を抜け、壁や床に不規則な影を落とす。
室内にいながら、庭の気配を傍らに感じる。
その距離の近さが、内と外の境界を静かに曖昧にしていきます。

庭を構成するのは、高木だけではありません。
高木、中低木、下草、そして石。
異なる高さや質感を重ねることで、視線に奥行きが生まれ、ひとつの画面では収まらない景色をつくります。
また、植栽は外からの視線をやわらかく遮る役割も担います。
完全に閉じるのではなく、葉の隙間から光や空の気配を残す。
疎密相生するように、隠すところと抜くところを整えることで、守られながらも閉鎖的ではない居場所をつくっています。
春夏秋冬、そして朝夕。
芽吹き、繁り、色づき、葉を落とす。
光の角度が変われば、同じ庭でもまったく異なる表情を見せます。
完成した瞬間が完成ではなく、
時とともに姿を変えながら、建築とともに育っていく。
建物と庭を一体として考えることは、
その土地にある光や風、季節までも住まいの中へ取り込むことなのかもしれません。
庭が建築へ入り込み、建築が庭へと滲み出していく。
その境界が薄れていくところに、
その土地だからこそ生まれる住まいの風景があります。