「小さな家」というすまいづくりが広がりを見せています。
私たち那須倶楽部ではこの「小さな家」を“本当に必要なものを考え、選択する事により余分をそぎ落としたすまい”と定義し、今年のすまいづくりにおけるコンセプトの一つとして積極的に提案していますが、この広がりの背景にはこれまで大量にものを消費し所有していた生活をあらため、自分らしい身の丈の豊かさを積極的に選び取るという、私たちの暮らし方の変化が影響していると考えています。
今回、私たちは北欧家具のコレクション等、生活の中に豊かさを求める住宅適齢期のオーナーより「間口約5m、奥行20数mという街中にある敷地を生かした住まいを提案して欲しい」というユニークな依頼を受けました。そこで私たちは京都の町家等を参考にしながら、街で暮らすことの豊かさや楽しさ、そして心地良さをいかに引き出すかを考え、オーナーと共にデザインを行いました。
慌しい都市の環境にありながらリゾートの知恵が取り入れられた、ルームスケープ豊かなこの「作品」は、現代の都市生活を考えるよいケーススタディとなっています。
Floor Plan 1F
屋内外の様々なものを保管出来る蔵やスキップフロアを設けて空間に遊び心を持たせたリビング、ダイニング等、日々の生活を楽しくさせる演出を行った1Fは住む人はもちろん、そこに訪れる人にも居心地の良さを作り出します。
1.Entrance / 玄関
壁・天井をウォルナットで仕上た、トンネルの様にユニークなエントランス。エントランスには蔵とメインフロア、二つの入口を設けています。
2.Kitchen Dining / 台所・中の間
町家の台所や中の間にも通じる、食事の場所だけではなく家族や友人たちと談笑したり、一人で本を読んだりと様々な用途に使う事の出来るキッチン・ダイニング。
那須倶楽部では、キッチンはオーダーメイドを標準としています。仕様、棚割りはもちろん、高さや幅等のサイズも自由にデザインする事が可能となっています。
3.Living / 居間
道路からの視線を考慮し、高さを持たせたスキップフロアのリビング。リビングはステップでダイニングやテラスと繋ぎ、自由な動線を確保しています。またリビングには薪ストーブを設置し、1日中そこで過ごしたくなる心地の良い空間となっています。
4.Japanese Room / 座敷
住宅密集地という立地を考慮し、高窓を設け採光とプライバシー確保したジャパニーズルーム。ジャパニーズルームは他の空間と比べ入口を低くする等、遊び心を持たせています。
5.Wash Room / 洗場
バス、洗面、トイレとコンパクトにまとめた使いやすいウォッシュルーム。
那須倶楽部では、バスはオーダーメイドが標準となっており、今回の「作品」にはイタリア製タイルや桧、ドイツ製水栓金物、船舶灯等を用いて構成しています。
6.Store / 蔵
町家の蔵から発想を得た多目的収納スペース。タイルやスポーツグッズ等の屋外用品はもちろん、季節の家電製品等の屋内用品も収納可能となっています。
Floor Plan 2F
プライベート空間である寝室やテラスで構成された2F。2Fは住宅密集地の中で周辺の建物の影響が少ないので明るい空間となる様、プランニングをしています。
7.Private Room / 寝室
大きな開口を設け、明るく風通しの良いベッドルーム。寝室はテラスと繋がり、空間をより広く感じる様にしています。
8.Terrace / 露台
リビング、ベッドルームと連続させ、建物を回遊出来る様に動線設計を行ったテラス。布団や洗濯物の乾燥はもちろん、お茶や読書等にも心地良い開放的なスペースとなっています。
Exterior Plan
エクステリアは限られたスペースの内にパーキングやアプローチを効率的にレイアウトしています。今回の敷地は車通りの多い道路に面していることから特にプライバシーを重視し、玄関までのアプローチに機能門柱を配置する等、心理的な結界を設けて人の往来を制限させる等の工夫を行っています。
所在地/福島県郡山市
仕様用途/専用住宅
家族構成/1世帯
延床面積/87.19u [26.3坪]
1階面積/60.70u [18.3坪]
2階面積/26.49u [ 8.0坪]
収納/13.04u [ 3.9坪]